『クロード・グラス』
久しぶりに新着資料を紹介。ピクチャレスク美学とは切り離せないクロード・グラスの研究書で、おそらくは唯一のモノグラフか? クロード・グラスとは、18世紀に流行した視覚装置で、表面に色を付けられた凸面鏡である。ピクチャレスクな風景に出合ったとき、やおらそれを取りだし、風景に背を向けて(これが面白い)鏡を覗くと、風景が縁取られ、しかも凸面によって構図が強化され、まるでクロード・ロランの風景画のような風景が目の前に現出するというもの。ヴィクトリア&アルバート美術館にあるクロード・グラスはこういうもの→Content no longer available - Victoria and Albert Museum。クロード・グラスのウェブカムがあるサイトまである→http://web2.uwindsor.ca/hrg/amckay/Claudemirror.com/Home.html。
届いてから気付いたのだけど、フランス語から翻訳されたものである。
The Claude Glass: Use and Meaning of the Black Mirror in Western Art (Zone Books)
- 作者: Arnaud Maillet,Jeff Fort
- 出版社/メーカー: Zone Books
- 発売日: 2004/10/15
- メディア: ハードカバー
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- アルノ・マイエ『クロード・グラス――西洋美術における黒い鏡の使用と意味』ジェフ・フォート訳、ゾーン・ブックス、2004年
- 序言
- 定義――特性と様相
- 命名の問題
- 史料の問題――消えた鏡
- 怪しい鏡
- 悪魔のような鏡
- 反射光学
- 磁気学、催眠術
- 不穏
- 魅惑
- 圧縮する鏡
- 目と視野を考える
- 圧縮する鏡――色調を考える
- 魅惑し、欺く鏡
- 理想化する鏡
- クロード・グラスの使用の限界
- 欺き、そして
- 価値の下がる鏡
- 価値の低下
- (さまざまな)抽象
- 不治の喪失
- 序言
なんか詩的というか、格好良すぎて、何が書いてあるのか分からない目次だなぁ。パラパラと捲ると、18世紀のことから、現代のたとえばゲルハルト・リヒターの作品まで出てきていて相当幅広い本のよう。
ちなみに買ったのはペーパーバックの方だけど、折角格好いいカヴァー(ゾーン・ブックスの本のデザインはいいね)なんで、書影のあるハードカヴァーの方を載せてます。安い方はコチラ→The Claude Glass: Use and Meaning of the Black Mirror in Western Art (Zone Books)。