『クロード・グラス』

久しぶりに新着資料を紹介。ピクチャレスク美学とは切り離せないクロード・グラスの研究書で、おそらくは唯一のモノグラフか? クロード・グラスとは、18世紀に流行した視覚装置で、表面に色を付けられた凸面鏡である。ピクチャレスクな風景に出合ったとき、やおらそれを取りだし、風景に背を向けて(これが面白い)鏡を覗くと、風景が縁取られ、しかも凸面によって構図が強化され、まるでクロード・ロランの風景画のような風景が目の前に現出するというもの。ヴィクトリア&アルバート美術館にあるクロード・グラスはこういうもの→Content no longer available - Victoria and Albert Museum。クロード・グラスのウェブカムがあるサイトまである→http://web2.uwindsor.ca/hrg/amckay/Claudemirror.com/Home.html


届いてから気付いたのだけど、フランス語から翻訳されたものである。


The Claude Glass: Use and Meaning of the Black Mirror in Western Art (Zone Books)

The Claude Glass: Use and Meaning of the Black Mirror in Western Art (Zone Books)

  • アルノ・マイエ『クロード・グラス――西洋美術における黒い鏡の使用と意味』ジェフ・フォート訳、ゾーン・ブックス、2004年
    1. 序言
      1. 定義――特性と様相
      2. 命名の問題
      3. 史料の問題――消えた鏡
    2. 怪しい鏡
      1. 悪魔のような鏡
      2. 反射光学
      3. 磁気学、催眠術
      4. 不穏
      5. 魅惑
    3. 圧縮する鏡
      1. 目と視野を考える
      2. 圧縮する鏡――色調を考える
    4. 魅惑し、欺く鏡
      1. 理想化する鏡
      2. クロード・グラスの使用の限界
      3. 欺き、そして
    5. 価値の下がる鏡
      1. 価値の低下
      2. (さまざまな)抽象
      3. 不治の喪失


なんか詩的というか、格好良すぎて、何が書いてあるのか分からない目次だなぁ。パラパラと捲ると、18世紀のことから、現代のたとえばゲルハルト・リヒターの作品まで出てきていて相当幅広い本のよう。


ちなみに買ったのはペーパーバックの方だけど、折角格好いいカヴァー(ゾーン・ブックスの本のデザインはいいね)なんで、書影のあるハードカヴァーの方を載せてます。安い方はコチラ→The Claude Glass: Use and Meaning of the Black Mirror in Western Art (Zone Books)