19世紀日本における写真

昨日は、民博に来ている人類学者/写真研究者のデイヴィッド・オドさん(ハーヴァード大/ピーボディー美術館)と会った。19世紀における小笠原諸島の写真による表象を研究している人で、いろいろと面白い話を聞かせて貰う。ボクが如何に小笠原諸島の歴史に関して無知であったかを思い知らされる。さまざまな国と民族の思惑が絡み合う地政学的な重要性を有する場所だけに、相当に複雑な歴史を持っているらしい(小笠原諸島の歴史)。とくに言語の問題は興味深い。さまざまな民族が入植したため、英語--ボニン・クレオール英語--が共通語となり、さらにそれに日本語が混じって「小笠原クレオール日本語」というものができたとか(ダニエル・ロング「http://nihongo.human.metro-u.ac.jp/~long/bonins/06Long.htm」)。勉強しなきゃ。


彼に教えて貰ったのが、『ヒストリー・オヴ・フォトグラフィー』誌の最新号が、「19世紀日本における写真」特集だということ。オドさんの論文の抜刷は頂いたのだが、他の論文も読んでみたいので、図書館に行かなければ。

  • History of Photography, 34, May, 2009.
    • セバスチャン・ドブソン「写真と1960〜61年のプロシアの日本調査隊」
    • カレン・フレイザー「日本の初期写真におけるスタジオ実践」
    • ルーク・ガートラン「サミュエル・コッキングと19世紀日本写真の勃興」
    • 平山美樹子「天皇の新たな衣装―日本の視覚性と皇族の肖像写真」
    • デイヴィッド・R・オド「1875〜76年の小笠原諸島の調査写真」
    • 脇田未央「日本を売る―日下部金兵衛による日本女性のイメージ」
    • セバスチャン・ドブソン、ルーク・ガートラン「日本の19世紀写真―文献目録」

ちなみに、オドさんとは、はじめて会ったのだけど、あまりにも共通の友人が多いことに、「狭い世界だね」と笑いあう。


オドさんには、アムステルダム国立美術館の日本初期写真コレクションを研究した単著がある。
David R. Odo, Unknown Japan: Reconsidering 19th-century Photographs, Amsterdam: Rijksmuseum Amsterdam, 2008.