『写真に関する古典的著作』

Classic Essays on Photography

Classic Essays on Photography

タイトルが示唆するように、『写真に関する古典的著作』は写真創生期からの「古典」的な著作を集めたものである(昨日のが「御三家」以後なら、これは「御三家」以前が中心)。昨日のリーダーとこの本(あるいはPhotography in Print)で、写真に関する言説の大まかな流れが把握できる。昨日のが院生向けとしたら、これは、学部生向けの「写真史」「写真論」「映像論」などという授業の教科書になるだろう。
写真の発明から、発展、さまざまな「主義」の登場と、写真に関してそれぞれの時代の人がどのような言葉を紡ぎ出してしてきたのかを、歴史を追って読むことができる。
ちなみに編者トラクテンバーグの著作には、『アメリカ写真を読む―歴史としてのイメージ』がある。

    • アラン・トラクテンバーグ「序」
  • 1,19世紀前期
  • 2,ヴィクトリア期における論争
    • オリヴァー・ウェンデル・ホームズ「ステレオスコープとステレオグラフ」
    • シャルル・ボードレール「近代の公衆と写真」
    • ヘンリー・ピーチ・ロビンソン「理想主義、現実主義、表現主義
    • ピーター・ヘンリー・エマーソン「芸術への助言」
  • 3,近代の諸潮流
    • ルイーズ・ハイン「社会的写真」
    • ルフレッド・スティーグリッツ「絵画的写真」
    • マリウス・デ・ザヤス「写真」/「写真と芸術的写真」
    • 著者不詳「写真は新しい芸術か?」
    • ポール・ストランド「写真」/「写真と新たなる神」
    • フランツ・ロー「メカニズムと表現」
    • ラースロー・モホイ=ナジ「写真」
    • マン・レイ「光の時代」
    • エドワード・ウェストン「写真的に見る」
    • ベレニス・アボット「岐路に立つ写真」
    • ウォーカー・エヴァンズ「写真の再登場」
  • 5,近年におけるいくつかのテーマと問題

【追記】ちなみにヴォルフガンク・ケンプが編集した写真論の大アンソロジーについてはid:photographology:20051213を参照のこと。ドイツ語なので、僕は手を出せないが……。