『植民地主義写真』

Colonialist Photography: Imag(in)ing Race and Place (Documenting Theimage, 9)

Colonialist Photography: Imag(in)ing Race and Place (Documenting Theimage, 9)

アマゾンの荷物が、古くは11月初旬に頼んだものから、年明け、二、三日前に注文したものまでが、正月を挟んだためか、集中的にまとめて二日連続で届く。ペリカン便の人も少し笑ってた。で、段ボールの山と本の山。さらに大学に行ったらここにも色々届いている。というわけで、その中から面白そうなものをぼちぼち紹介していくつもり。とりあえずは一冊だけ。

エレノア・M・ハイト、ゲイリー・D・サンプソン編『植民地主義写真:人種と場所を描出/想像〔Imag(in)ing〕する』

  1. エレノア・M・ハイト、ゲイリー・D・サンプソン「序:写真、『人種』、ポスト植民地理論」
  2. ブレンダ・L・クロフト「霊を休息させる」
  3. ジュリア・バッレリーニ「写真でヌビア人を書き直す:マクシム・デュ・カンの『文化的憂鬱症』」
  4. ジョン・ファルコナー「純粋な篤志事業:『インドの民』の出版史」
  5. ゲイリー・D・サンプソン「植民地的ピクチャレスクを暴露する:サミュエル・ボーンのバラックポール公園の写真」
  6. アイシュ・エルドグドゥ「他者性を描く:オスマン人男性のヴィクトリア期タイプ〔人種類型〕写真における表象の戦術」
  7. エレノア・M・ハイト「ベアトの『美人』の幾多の人生」
  8. レベッカ・J・デルー「植民地的採集:フランス人女性とアルジェリアの絵葉書」
  9. マイケル・ヘイズ「写真と太平洋クルーズの登場:植民地写真における表象の危機を再考する」
  10. パトリシア・ジョンソン「楽園を広告する:美術、人類学、商業写真におけるハワイ」
  11. アンドリュー・エヴァンズ「人種を捉える:第一次世界大戦のドイツとオーストリアの捕虜キャンプにおける人類学と写真」
  12. キム・シケル「ジェルメーヌ・クルルと『黒い友情〔L'Amitie noire〕』:第二次世界大戦とフランスの植民地主義映画」
  13. オスカー・ヴァスケス「『よりよき住処』:政府機関の写真とプエルト・リコのヒバロ〔スペイン系移民〕の変容」

2002年に出た植民地主義写真についての論集。見過ごしていた、やばい。博論の横浜写真についての章で扱ったフェリックス・ベアトはもとより、言及しているマクシム・デュ・カンやサミュエル・ボーンについての論文が載っている。
これまでにも何冊か紹介してきたように、人類学写真というのは、人類学研究においても写真研究においても、いわば颱風の目みたいなもんだから、いろいろ論文は出ているのだが、スピヴァクなどのサバルタンスタディーズの影響を受けた論文が入ってきたり、また扱う時期も19世紀だけでなく、第二次大戦まで含むなど、この研究領域もまだまだ深化し続けているようだ。早速、読まなければ。