『リーダー:視覚文化』
Visual Culture (Published in association with The Open University)
- 作者: Evans
- 出版社/メーカー: SAGE Publications Ltd
- 発売日: 1999/05/01
- メディア: ペーパーバック
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アメリカ版に比べると、視覚文化クラシックスともいえるブライソン、バルト、フーコー、ベンヤミン、ソンタグ、ドゥボール、マルヴィ、アルチュセール、フロイト、ファノン、バーバなどが押さえられている点で、手堅い印象があり、教科書としては良くできていると言えるか。また、カルチュラル・スタディーズ第二世代のヘブディッジが入っている点、また上記の「クラシックス」のほとんどがカルチュラル・スタディーズの古典でもあることから、とりあえずこの本においては、「視覚文化」とは、「カルチュラル・スタディーズ視覚版」と捉えられていると言っていいだろう。やっぱりアメリカよりマルクス主義色が強い。
もう一つの特徴は、1章を使って、写真論--しかも80年代以降のいわゆるポストモダン写真論の成果--が紹介されていることだろう。その代わり、ここでも美術史色は後退している(プロパーはブライソンくらいか)。
ただ、アメリカに比べるとクイア研究が少ないのは、やっぱりゲイ・カルチャーは、アメリカが本場だからかな。
よく出来たセレクションだと思う。
ジェシカ・エヴァンズ、ステュアート・ホール編『リーダー--視覚文化』
- ジェシカ・エヴァンズ、ステュアート・ホール「視覚文化とは何か」
- 1,視覚的なものの文化
- 2,写真的意味を規定する
- C,写真を理論化する
- サイモン・ワトニー「写真の制度について」
- ピエール・ブルデュー「写真の社会的定義」
- アラン・セクーラ「アーカイヴを読む--労働と資本の間の写真」
- ロザリンド・クラウス「写真の言説的空間」
- D,写真における制度と実践
- C,写真を理論化する
- 3,見ることと主体性
- E,理論的視座
- F,まなざしをジェンダー化する
- G,人種的差異を「見る」