『19世紀視覚文化リーダー』
The Nineteenth-Century Visual Culture Reader (In Sight: Visual Culture)
- 作者: Vanessa R. Schwartz,Jeannene M. Przyblyski
- 出版社/メーカー: Routledge
- 発売日: 2004/07/01
- メディア: ハードカバー
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序の後、同時代のものを中心とした視覚文化論の基礎文献--ボードレール、マルクス、フロイト、リーグル、クラカウアー、ベンヤミン--が「系譜」として並べられ、さらに技術、展示、都市/建築、歴史、人種/ジェンダー、文化の政治学の6つの問題領域に分けられ(ベンヤミン、フーコー、バルトなどは各章に入れられている)、短いものも含め、相当量の文章が並んでいる。
19世紀が対象であるからだろう、他の視覚文化リーダーでは、すっかり消え失せていた「美術史」の範疇にも入る論文--クラークやノクリン--が挙げられているのも特徴で、またヨーロッパだけでなく、あまり触れることのない19世紀アメリカを研究対象としたものも含まれるなど、バランスの良いコレクションである。来年度の講読では、第4部の「展示の実践とイメージの流通」から論文を一本選ぼうと思う。
- 1,視覚文化と研究領域としての実践
- ヴァネッサ・R・シュウォーツ、ジャネーヌ・プルツィブリスキー「視覚文化の歴史--21世紀の学際性と19世紀の〔研究〕対象
- マーガレット・コーエン、アン・ヒゴネット「複雑な文化」
- マイケル・L・ウィルソン「視覚文化--歴史的分析のための便利なカテゴリーなのか?」
- 2,諸系譜
- シャルル・ボードレール「近代生活の画家」(1863)
- カール・マルクス「商品と貨幣」(1867)
- ジグムント・フロイト「夢の仕事」(1900)
- アロイス・リーグル「近代の記念碑崇拝--その性格と起源」(1928)
- ジークフリート・クラカウアー「写真」(1927)
- ヴァルター・ベンヤミン「複製技術時代の芸術作品」(1936)
- 3,テクノロジーと視覚
- ミシェル・フーコー「一望監視方式」
- ジゼル・フロイント「肖像写真の先駆者たち」
- ジョナサン・クレーリー「観察者の技法」
- ヴォルフガンク・シヴェルブシュ「パノラマ的な旅行」
- トム・ガニング「『動く絵』--映画の忘れられた未来の物語、映画生誕100年の後に」
- 4,展示の実践とイメージの流通
- 5,都市と建築環境
- 6,過去の視覚化
- ピエール・ノラ「記憶と歴史の間で--『記憶の場〔Les Lieux de Memoire〕』
- モーリス・サミュエルズ「絵入りの歴史書--言葉とイメージの間の歴史」
- ダーシー・グリマルド・グリズビー『革命の子、白い父、クレオール的差異--ギヨーム・ギヨン=ルティエールの《祖先の誓い》(1822)
- カーク・サヴェージ「解放を鋳造する--ジョン・クインシー・アダムズ・ワードの《解放された奴隷》」
- ジョイ・S・カッソン「歴史への要求を賭ける」
- 7,差異の想像
- 8,内面と外部--個人的なものと政治的なものを見る