「寫眞」というコトバ
語源を辿れば、「光による記述」という意味である"photography"(後の「光画」という造語の方が原意に沿っている)に、なぜ「寫眞」という訳語がくっついたのか。ずっと昔に研究会で発表したこのネタ(眞ヲ寫ス--フォトグラフィと写真のあいだに)を文章にまとめはじめている。東アジアの画論における「真」の概念(これをおっかけだすと深く深くきりがないが)、カメラ・オブスキュラが「写真鏡」と名付けられた所以、「印影鏡」「直写影鏡」などのオルタナティヴな名前の問題、また中国語で「肖像」という意味を持つ「真」や「影」の問題など、再考しなければいけないことは山積み。取り敢えず主要な参考文献は以下。
- 木下直之『写真画論--写真と絵画の結婚(岩波近代日本の美術〈4〉写真画論―写真と絵画の結婚)』
- 木下直之他編『上野彦馬と幕末の写真家たち(日本の写真家〈1〉上野彦馬と幕末の写真家たち)』
- 辻惟雄「『真景』の系譜--中国と日本」『美術史論叢』1/3、東京大学文学部美術史研究室、1984/1987年
- 佐藤道信「『写実』『写真』『写生』」『明治国家と近代美術―美の政治学』
- ドリス・クロワサン「明治初期洋画の肖像画レアリスムについて--高橋由一を中心に」『人文学報』53号、京都大学、1982年
辻論文、クロワサン論文のコピーが見つからん・・・