『ミュージアム・スタディーズ』

ずっと紹介しようと思いながら、あまりにも分厚く、ペーパーバックなのに本棚から頭に落ちてきたらやばいってくらいのヴォリュームで、なかなか紹介が叶わなかったミュージアムスタディーズのリーダー。

Museum Studies: An Anthology of Contexts

Museum Studies: An Anthology of Contexts

ベッティナ・メシアス・カーボネル編『ミュージアムスタディーズ:コンテクストのアンソロジー

  • 第1部:ミューゼオロジー:コンテクストのコレクション
  • 第2部:ミュージアムにおける「自然」の位置:博物誌・人類学・民族学
      • 序文
    • チャールズ・ウィルソン・ピール「アメリカ合州国の市民へ」
    • ルイ・アガシ「トーマス・G・グレイ氏への1863年の手紙」
    • ロバート・ゴールドウォーター「民族学博物館の発展」
    • フランツ・ボアズ「民族学博物館とその分類法」
    • クリストファー・ルービー「自然の構成:ジェファーソン、ピール、バートラムにおける政治としての分類学
    • カーティス・M・ヒンズリーJr「『高尚なる意図』:1846年におけるワシントンDCとアメリカの人類学」
    • ファブリス・グログネ「民族学:展示の科学」
    • エニッド・シールトクラウト「曖昧なメッセージとアイロニー的な捻り:『アフリカの最深奥へ』展と『他のミュージアム』展」
    • メアリー・ボンケ「別の方法で考え、別の方法でする:展示の実践における人類学理論」
    • ギャン・プラカッシュ「ミュージアムはこだわる」
      • 黙考:ゾラ・ニール・ハーストン「白人の出版社が印刷しないであろうもの」
  • 第3部:ネーションの地位とミュージアム
      • 序文
    • J・C・ロビンソン「講演」(『美術館について』より)
    • アニー・クームス「ミュージアムと国民的、文化的同一性の形成」
    • エレノア・ハートニー「帝国的心性を破砕する」
    • ヘンリー・バルフォア「ミュージアム協会のメイドストーン大会(1909)における会長講演」
    • ジョルダナ・ベイルキン「フェミニズムを描き、リベラリズムを売る:失われたホルバインの場合」
    • エドワード・N・カウフマン「万国博覧会から復古村〔Restoration Village〕にいたる建築ミュージアム
    • ロバート・W・ド・フォレスト、グロスヴナー・アターバリー、エリウ・ルート「ニューヨーク、メトロポリタン美術館アメリカ棟の開館式典における挨拶」
    • エリザベス・ブラウン「アメリカの物語を語る」
    • ロジャー・G・ケネディ「世紀末における国立ミュージアムに関するいくつかの考察」
      • 黙考:ジェームズ・フェントン「オックスフォード、ピット=リヴァーズ・ミュージアム
  • 第4部:ミュージアムにおいて歴史を定位する
      • 序文
    • サー・ウィリアム・ヘンリー・フラワー「地元のミュージアム
    • スーザン・H・クレーン「記憶、歪曲、ミュージアムにおける歴史」
    • トーマス・J・シュレレス「思考と制作物の蒐集:歴史博物館と歴史テクストに共通する問題」
    • ゲイナー・カヴァナフ「メロドラマか、パントマイムか、あるいは描写か:自分たち自身とイギリスの過去を歴史博物館の展覧会で表象する」
    • モニカ・リスニコフ・ド・ゴルガ「幻影としての現実:ミュージアムになった歴史的な家」
    • マーク・P・レオーネ、バーバラ・J・リトル「社会と文化の表現としての制作物:撹乱的な系譜学と歴史の価値」
    • ジェームズ・ディーツ「他の世界の感覚:歴史博物館と文化の変容」
    • リサ・G・コリン「ミュージアムを採掘する:アーティストはミュージアムを見つめ、ミュージアムは自らを見つめる」
  • 第5部:芸術・工芸・オーディエンス
      • 序文
    • ジョン・コットン・ダーナ「芸術のパトロンとしてのミュージアム
    • ベンジャミン・アイヴス・ギルマン「美術館の建設と管理の目的と根本方針」
    • ジョルジュ・バタイユミュージアム
    • ピエール・ブルデュー、アラン・ダルベル、ドミニク・シュナッパー「結論」(『美術愛好』より)
    • フィリップ・フィッシャー「芸術と過去の未来」
    • マルカム・マクレオド「コレクションなきミュージアム:西アフリカにおけるミュージアムの哲学」
    • ポール・ディマジオ「19世紀ボストンにおける文化的企業性(第2部):アメリカ美術の分類と枠付け」
    • ジャネット・ウォルフ「ホイットニー美術館における女性たち、1910-30:フェミニズム社会学/美学」
    • モーリス・バージャー「重力ゼロ」
    • キナストン・マクシャイン「序文」(『ミューズとしてのミュージアム:アーティストの反応』より)
    • カレン・メアリー・ダヴァロス「混血性〔Mestizaje〕の展示:メキシコの美術センター・ミュージアムにおける詩学と経験」
    • ティーヴン・グリーンブラット「共鳴と驚異」
    • アイリーン・フーパー=グリーンヒル「美術館における価値の変容:コミュニケーションと学習を再考する」
      • 黙考:バーバラ・キルシェンブラット=ギンブレット「出逢いの秘密」

歴史的な文献資料から最近の考察まで、全部で53ものテクストが、上記のようにテーマ別に編成されている。また、以下のように分類された索引もついており、そちらでは53のテクストがアプローチ別に再編成されているといったようになかなか凝った編集である。


副題が面白い。「An Anthology of Context」。アンソロジーというのは、もちろん「テクスト」を集めたものなのだが、対象がミュージアムだけに、「モノ」だけではなく「文脈」の問題と絡んでくるというのだろう、「コンテクストのアンソロジー」となっている(この言葉遊びって訳しにくいなぁ)。

  • 「museum」という言葉の訳に関して。限定されている場合は、「美術館」「歴史博物館」「民族学博物館」などと訳したけれども、単に「museum」となっている場合は、上記のものや科学/自然史博物館なども含む総体的なものと考えて、「ミュージアム」そのままにしておきました。