『アメリカの器物』

ひさびさに文献紹介を。

American Artifacts: Essays in Material Culture

American Artifacts: Essays in Material Culture

ジュールズ・デイヴィッド・プローン、ケネス・ハルトマン編『アメリカの器物――マテリアル・カルチャー論集』

  1. ジュールズ・デイヴィッド・プローン「前書き」
  2. ケネス・ハルトマン「序論」
  3. ジュールズ・デイヴィッド・プローン「マテリアル・カルチャーの真実――歴史か、フィクションか?」
  4. ロビン・アスルソン「古き炎に魅せられて――20世紀後半のルーサイト〔半透明アクリル〕・ライターにおける逆説と幻影」
  5. ジェフリー・コリンズ「酒のなかの死?――帝都ニュー・ヨークにおける死とワイン入れ」
  6. サラ・ローレル・ホルスタイン「裁縫と種蒔き〔Sewing and Sowing〕――アーミッシュ・キルトの文化的連続性」
  7. デイサン・マクレーン「〈ブワット・セクレ〉を開ける――ハイチの貯金箱の秘密」
  8. レスリー・シャノン・ミラー「さまざまなイヴの姿――19世紀後半のコルセットに見られる女らしさのスタイル」
  9. ジョエル・フィスター「機械の中の庭園――19世紀中盤の二筒式応接間ストーヴを文化的なテクストとして読む」
  10. ジェニファー・L・ロバーツ「ラヴァ・ライトについての黙想――60年代アメリカにおける技術主義、対抗文化、封じ込め政策」
  11. カルロ・ロッテーラ「歩行者用鉄橋における産業、自然、アイデンティティ
  12. ルーシー・ステー「家宝――金メッキ時代南北戦争後の時代〕の鼈甲製ロケット」
  13. エイミー・B・ワーベル「フォーリー社製フード・ミル」
  14. ウェイリ・イェ「家庭の光――アルガン燈におけるジェンダー弁証法

5月に、ニュー・ヨークで日本のマテリアル・カルチャーとヴィジュアル・カルチャーに関するシンポジウムがあって、発表させて貰うことになった。そのシンポジウムの趣旨は、発表者各人がひとつのモノあるいはイメージを採りあげ、それを徹底的に読むというもので、そうした試みのモデルとして、主催者の一人であるジョージタウン大学のジョルダン・サンドさんhttp://www.georgetown.edu/departments/asian/f_sand.htmに薦められたのがこの本。
各論者が、19世紀から20世紀にかけてのアメリカの「器物artifact」を徹底的に読み込み、その文化的コンテクストやイデオロギーなどを辿っていくというもので、採りあげられているモノは、美術工芸品や歴史的価値のある遺物ではなく、完全にヴァナキュラーなモノばかり。とくに薦められたラヴァ・ライト(バーとかにある、不定形の色つきの物体が液体のなかで形を変えるもの)に関するロバーツ論文から読んでいこう。
なにしろ、多分アメリカでは有名で、馴染みのものが多いんだろうが、いかんせん知らなかった器物がおおいので、上の訳にはそれほど自信はありません……


ちなみに12のステー(この読みでいいのかな? 原綴はSoutter)が、写真ロケットについて書いています>id:photographologyくん。