東大博物館展覧会メモ

日本のいろんなミュージアムのなかで好きなところはって聞かれたら、ここって言うかも知れない。東大の総合研究博物館。いつも凝った企画で、行くのを楽しみにしている。

  • Chambers of Curiosities:東京大学コレクション――写真家上田義彦のマニエリスム博物誌
    • 明治以来の東大所蔵の標本コレクションを、黒バックで撮影した写真の展示。田中純さんがhttp://news.before-and-afterimages.jp/C1884801429/E20061209114434/index.htmlで辛い点をつけてられて、確かにその通りだとは思う。黒バックで「標本」を脱コンテクスト的に撮るってのは、杉本弘司さんの前例がある訳で、そのコンセプトに比べると弱い点は否めないが、でもこれはこれで楽しめた。撮られた現物も「標本は語る」展や「驚異の部屋」展に出ていたから、比較して見たら、やっぱり平面化され引き延ばされることによって見えてくるものもあるような気がする。ただ、出力がインクジェット(なのかな?)で、少しマットな仕上がりだったけど、光沢のあるプリントであったり、あるいはプレクシ・グラスでマウントしたりしたら、また違う印象になるかも。しかし、ヨーロッパの新聞紙をクッションとして箱に詰められた眼病の模型って、どうみてもダダ東京大学総合研究博物館 The University Museum, The University of Tokyoの上から4行目、右から2,3列目)
  • Systema Naturae ――標本は語る
    • リンネによる三分類――鉱物界、植物界、動物界――に則って、標本をツリー状あるいはグリッド状に並べてみせるという試み。なんといっても標本自体が、古いもので、「明治○○年」などという貼り紙や書き込みがあって、その古び方も含めて楽しむもんなんだろう。鉱物の展示の仕方東京大学総合研究博物館 The University Museum, The University of Tokyoの上から二番目の写真)は、石を樹脂で固めてインスタレーションしている人(精華のK君)などは必見でしょう。
  • 常設:驚異の部屋展――Chambers of Curiosities
    • かつての東京医学校本館全体を「驚異の部屋」に見立てて、古い家具やキャビネットに、古い標本を展示する。科学系の展示だけど、近代的に整理・分類して、キャプションを付けて展示するのではなく、まさに驚異の部屋風に詰め込んだインスタレーション。キャプションなどが殆どないかわり、スタッフが説明してくれる。僕は、うはうは言いながら楽しんだけど、でも、何も知らずに小石川植物園のついでにやってきた客には不親切かも。工部大学校で作られた国産の計測機器(多分象牙製の物差しとか)など、ほんとに素敵。コーネルな人やボルタンスキーな人は是非。


小石川分館ってはじめて行ったけど、なんか周りの雰囲気いいですな。落ち着いてて。