『遠くの都市』

遠くの都市

遠くの都市

ジャン=リュック・ナンシーロサンジェルスに関して、1987年と99年に書いたテクスト、それへのジャン=クリストフ・バイイによる解題に、坂牛卓、若林幹夫によるテクストを加えたもの。ナンシーは、「都市ならざる都市」としてのLAの表層を執拗になぞるように記述する。
LAという都市には、2,3回しか、しかもほとんど通り過ぎるようにしか訪れたことはないが、それだけの欠片のような印象でも、「難儀な街やなぁ」と思った。とにかく、車に乗らない(乗れない)身としては、こりゃあ暮らせんわという感じだったダウンタウンとかは違うのかもしれないが)。京都や東京やマンハッタン、あるいはロンドンとかパリとかの都市(あるいは去年行ったワルシャワとは全然違う。歩けない。歩行/遊歩をベースとした都市論が通じない相手だと思った。
だからこそ、LAが問題となるのかな。エドワード・ソジャの『ポストモダン地理学―批判的社会理論における空間の位相』や、あるいは最近斜め読みしたイアン・ボーデンの『スケートボーディング、空間、都市―身体と建築』なども思い出しながら、都市ならざる都市への、都市論ならざる都市論をゆっくり読み進める。