『近代の鏡--近代日本における伝統の発明』
- 作者: Stephen Vlastos
- 出版社/メーカー: University of California Press
- 発売日: 1998/05/01
- メディア: ペーパーバック
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スティーヴン・ヴラストス編『近代の鏡--近代日本における伝統の発明』
- スティーヴン・ヴラストス「伝統--過去/現在の文化と近代日本史」
- 1,調和
- 2,村
- 3,民俗
- 4,スポーツ
- 5,ジェンダー
- ジョーダン・サンド「明治期におけるアット・ホーム--日本の家庭生活の発明」
- ミリアム・シルヴァーバーグ「近代日本に給仕するカフェの女給」
- 6,歴史
こうした「伝統の発明」論に関しては、「〜〜は、近代に構築されたものである」って暴くのに何の意味があるのか、非生産的ではないかという批判が、右からはもとより、左からもある。id:morohiro_s:20051110#p1で書いた日本美術史における「制度論的転回」の成果が、「非生産的である」という言葉のもとに曖昧化され、理論フォビア=「実証」重視に向かっている現状は、その一例であろう。もちろん、イエロー・ジャーナリズム的に暴くだけでは、いけないのは確かである。近代の社会的、文化的構築体を検証するだけでなく、その意味をより深く理論的に考察しなければいけないだろう。しかし、多くのメディアが、ますます「伝統」を本質的なものとして語る傾向が高まっている昨今、「暴く」作業を中断せず、それを不断に発信していくことが必要だと思う。