バッド・ブレインズ
バッド・ブレインズのベスト盤を聞いている。
Banned in Dc: Bad Brains Greatest Riffs
- アーティスト: Bad Brains
- 出版社/メーカー: Caroline
- 発売日: 2003/06/26
- メディア: CD
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で、肝腎な音はというと、ジャズ/フュージョン上がりというのが納得される。つまりむちゃくちゃ上手い(上手い結果か、どんどんハード・ロック/ヘヴィー・メタルっぽくなっていくんだが)。でも「ファンキー」であるとか、「ブルージー」であるとかの一般的に言われる「黒人性」がさして見えてこない。きちんと「パンク」なんである。黒人は「黒人的」であるべきであるという期待を裏切っているとも言える。バッド・ブレインズの語りにくさはここにあるんじゃないかと思う。
もちろん、ルーツ・レゲエもハードコアと並行してやっていて、そこに「黒人性」を見いだす言説もあるが、これも難しい。たとえばザ・クラッシュの場合とかは、レゲエもロックン・ロールもみんなクラッシュの音になるんだけど、バッド・ブレインズの場合は、レゲエはレゲエ、ハードコアはハードコアとして成立してしまう。別のバンドがやっているみたいに、それぞれが独立している。このベスト盤でも年代順、アルバム順の構成ではなく、前半はハードコア、後半はレゲエときっちり別れている。技術的ソフィスティケーションがそれを可能にしているんだが、それが統一された全体としての「バッド・ブレインズ」を語りにくくしているんじゃないかと思う。
じゃあ、どう位置付けるべきなのか。僕自身も分からない。「統一した全体」として制作者を語ること(これこそ近代的な芸術観であろう)を拒否しているのかもしれない。「語りにくさ」こそが重要なのかも知れないな。「黒人性」を語るなというメッセージなんだろうか。だらだら書いてきて、結論めいたことを提示できなくって申し訳ない(また、何か思いついたら書きます)。
ヴォーカルのHRがバンドを抜けてから結成したヒューマン・ライツ(人権!)というバンド(HR自体がHuman Rightsの略らしいからソロと考えた方がいいのかもしれない)のギグを見たことがある。ハードな曲もあったが、殆どはルーツ・レゲエ。これが良かった。これまで見たライヴのなかでもトップ・クラスの完成度だった。なんといってもHRの痙攣声で、切々と歌い上げられるともうぼーっとしてしまう位だったのを覚えている。「痙攣声」って書いたけど、これはジェロ・ビアフラ(デッド・ケネディーズ)などに通じるだけでなく、結構ジャマイカにもある歌い方のような気がする。「ソウル」っぽく、腹の底から声を出して歌い上げるのではなく、マイクを利用してへなへな声で歌うって言う。もしかしたらHRの声/歌唱法かな、面白いのは。
「ブラック・ロック」ネタ。フィッシュボーン、スライ、バッド・ブレインズときたら、次はリヴィング・カラーか(捻ってデファンクトという手もあるな)。あるいは初期ファンカデリック、さらにはジミ・ヘンドリックスという大物中の大物も控えているし。