ウィキペディアと引用

アメリカの大学で、レポートなどにWikipediaからの引用を認めないという決まりを作ったとか。日本史の島原の乱に関する答案で同じ間違いが続出したことからの措置らしい。

とはいえ、その大学(ミドルベリー大学の歴史学科)も別にウィキペディアの利用自体を禁ずるわけではなく(当たり前だが)、それを信用できるソースとして使うことを問題としているそうだけど。
学生に、とりあえずの調査法としてウィキペディアを講義中に示したことがある者としては、考えさせられる。制作系の学部生で、とくに一回生とかの場合、本に当たってものを調べるということ自体の経験がない学生もあるわけで、まず調べ始める糸口として、ウィキペディアを紹介してきた。レポートに引用することも、出典さえ書けば可。もちろん、「これを完全に信用するんじゃなくって、他の文献にも当たりなさいよ」とは言っているんだけど。でも、レポートを見てみると、参考文献がウィキペディアだけの学生が多いこと、多いこと(まぁ、引用可と言ったんだからしかたない)。友人には、「レポートにウィキペディアからの引用は禁ずる」って言っている者もいるから、気にはなっていた。
まあウィキペディア、およびwikiっていうシステム自体は、非常に面白いシステムであると思っているし、期待もしている。で、僕自身ちょっとしたことでウィキペディアで調べることも多い。とくにポピュラー文化に関することでいえば、まずウィキペディアという場合も多い。
ただ、記述に責任を取る人間が明確でないことはやはり問題だし、参考文献や参考サイトを挙げている項目が圧倒的に少ないのも気にはなっている。で、僕とかは、何かに書くときはさらに調べるけど、多くの学生は、ウィキペディアを調べるだけで満足してしまう。まずは「引用は禁ずる」って言った方がいいのかもしれない。難しいな。
でも、ただ単に「禁ずる」ということで封じ込めるんじゃなくて、使い方を分かった上で、問題点をちゃんと伝えることが必要だろうと思う。「あるある」とかの話と一緒で、メディア・リテラシーの問題と深く関わっているし、さらには出版物も含めた文献自体をどのように信用するかという問題にも発展する。来期の講義では、リテラシーの問題をもっと詳しく採りあげよう。