『視覚文化--イメージと解釈』

Visual Culture: Images of Interpretation

Visual Culture: Images of Interpretation

ノーマン・ブライソン、キース・モキシー、マイケル・アン・ホリー編『視覚文化--イメージと解釈』

  • リゼルダ・ポロックフェミニズムフーコー--監視/セクシュアリティ
  • リサ・ティックナー「男の仕事?--男性性とモダニズム
  • ジョン・タッグ「不連続都市--描くことと言説的領域」
  • キース・モキシー「ヒエロニムス・ボッスと「さかさまの世界」--《快楽の園》の場合」
  • トーマス・クロウ「フランスの男性ヌード画の様式と歴史についての意見」
  • ウィットニー・デイヴィス「ジロデの《エンデュミオーンの眠り》における反応の拒絶」
  • ヴォルフガンク・ケンプ「革命の劇場--ジャック=ルイ・ダヴィッドの《テニス・コートの誓い》の新しい解釈」
  • ノーマン・ブライソン「ジェリコーと男性性」
  • エルンスト・ファン・アルペン「同一視の戦術」
  • カジャ・シルヴァーマン「ファスビンダーラカン--まなざし、視、イメージの再考察」
  • コンスタンス・ペンリー「フェミニズム精神分析、ポピュラー文化の研究」
  • アンドリュー・ロス「イメージのエコロジー
  • マイケル・アン・ホリー「ヴェルフリンとバロック的なものを想像すること」
  • ミーケ・バル「死んだ肉体、あるいは絵画のにおい」
  • デイヴィッド・サマーズ「形式とジェンダー

原書目次はこちら→http://www.amazon.com/gp/reader/081956267X/ref=sib_rdr_toc/102-1159557-6046548?%5Fencoding=UTF8&p=S007&j=0#reader-page
今日はクラシック。おそらく、「視覚文化〔visual culture〕」という言葉が、表だって使われた最初の本である。もちろん、これより前にマイケル・バクサンドール(『ルネサンス絵画の社会史 (ヴァールブルク コレクション)』)とスヴェトラーナ・アルパース(『描写の芸術―一七世紀のオランダ絵画』)が「視覚文化」という言葉を使っているのだが。
この本が出たのが1994年。執筆者を見れば、いわゆるニュー・アート・ヒストリーの旗手たちが並んでいる。視覚文化という概念の源泉が、美術史の枠外しから出てきたことは瞭然である。ただ、今ヴィジュアル・カルチャー・スタディーズといって必ず出てきそうなポストコロニアル批評がないこと、またほとんどが対象を西洋絵画においていることが、まだ美術史の枠内に止まっていたのかと思わせる(この頃、「イメージの歴史」という言葉もよく使われていた)。でもこの後、文学研究や社会学マルクス主義批評、カルチュラル・スタディーズ接触することによって「視覚文化」という問題領域は一気に広がっていくのである。